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昔ばなし

飴買い幽霊




 昔の話だよ。今の保原町の柱田というところに若い夫婦が仲良く暮らしていだったと。
 嫁さまのお腹には、赤ちゃんが育っていて「今日産まれっかなー、明日だべが」って楽しみにしてだったが、嫁さまが急な病気にかかって死んでしまったぁど。亭主は泣き泣き葬式だしたったど。

 それから二日たった晩のこと、掛田の町にある吉野屋という飴屋さ、白いきもの着た女の人が「飴売ってくなんしょ」って飴買いさ来た。吉野屋のじいさま飴渡すとき女の手さ触ったら氷のようにひゃっこかったど。次の晩もその次の晩も毎日一文ずつだして飴買いに来るんだと。

 その話聞いた絵かき様が、「絵姿に描いておくべぇ」と店の隅の方へ隠れて待っていた。夜も更けて、お寺の鐘がゴーンと鳴ると「飴売ってくなんしょ」って女が店さ来た。絵かき様「ほれ来た」って絵を描いてみたらば、なんぼよっく見ても足が見えねかった。

 飴屋のじいさま、気が強かったから、「よし、どこの女だか正体つきとめっぺ」と次の晩、飴売ってから、女の後ろをこそっとついて行った。柱田のお寺まで来ると女は、お寺の中さ入って行った。飴屋のじいさま気味わるくて震えながらお墓の奥までついて行ったらば、その女、すぅーっと消えちまった。

 じいさま、たまげて、その場にへたりこんじまった。そうしたら、お墓の中から赤ん坊の泣き声聞こえてきた。「坊様坊様、おなご墓で消えました。赤ん坊の泣き声聞こえてます」って坊様とこさ駆け込んだ。坊様は寺の男つれてって、その墓掘った。棺箱のふた取って見っと、手組んだ女のよこさ赤ん坊が口のまわり飴でべたべたにして泣いていたったぁ。

 坊様が、ずた袋さぐってみたら六文の銭が一枚も残っていなかった「ああ、これ墓の中でわが子産んでしまった母親の魂がわが子を助けたくて幽霊になって飴買いさ行って赤ん坊にしゃぶらせていたんだなぁ。もごせごど。もごせごど。」って坊様は墓から赤ん坊を救い出して、お墓をもとどおり埋め直して供養してくれたったぁど。

 その赤ん坊は育って立派な坊様になって母親の墓をしっかりと守ったったぁど。
 絵かき様の描いた幽霊の掛け軸は、今もそのお寺さあ残ってんだっけぇど。

 
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